'''やまぐち'''とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が山口線の新山口駅 - 津和野駅間で運行している臨時快速列車である。一般的に、'''SLやまぐち号'''と呼ばれている。SLやまぐち号は、1975年12月14日に日本国有鉄道での蒸気機関車による定期旅客列車の運転が終了して3年半後の1979年8月1日に運転を開始した。JR西日本が動態保存する蒸気機関車の牽引により運転されており、恒久的な蒸気機関車の動態保存列車の緒である。関連項目:国鉄C57形蒸気機関車1号機
蒸気機関車1両+客車5両(重連運転または客車が増結される場合もあり。詳細は後述)の編成で3月中旬から11月下旬までの週末(土曜・日曜・祝日)および夏休み・ゴールデンウイークなどの繁忙期に1日1往復が運転される。
このほか、正月三が日に津和野町の太皷谷稲成神社への参詣の便を図った「'''SL津和野稲成号'''」が運転される(この場合は通常編成のほか、近年はC56 160が京都総合運転所所属の12系客車2両程度を牽引することが多い)。2005年までは「'''SL津和野稲成初詣号'''」であったが、2006年からは「'''SL津和野稲成号'''」に名称変更されている。年によってはクリスマスに正月とほぼ同じ編成の列車が「'''SLクリスマス号'''」といった列車名で運転されることもある。新山口駅 - 湯田温泉駅 - 山口駅 - (仁保駅) - 篠目駅 - 長門峡駅 - (地福駅) - 鍋倉駅 - 徳佐駅 - 津和野駅
( )は下り新山口発津和野行きのみ停車運転開始当初の客車は、無改造の12系客車5両編成であったが、1987年の国鉄分割民営化に伴い、外装をぶどう色2号の地に白帯に改めた。その後、間もなく前述の「レトロ客車」への改造により、ぶどう色2号の12系客車の使用は短期間で終わったが、予備電源車のスハフ12 18は、この塗装のまま残った。なお、スハフ12 18は1995年3月に廃車・解体され、現存していない。
「レトロ客車」への改造後は、上下列車の両方で展望車風客車を最後尾に連結するため、蒸気機関車とともに津和野駅構内の転車台で方向転換が行われ、上り津和野発小郡(現在の新山口)行きでは明治風客車の次位に連結された。
2003年3月、展望車風客車の津和野駅での方向転換を省略するため、大正風客車の津和野寄りを密閉式の展望デッキに改めた。この改造により、明治風客車と連結順序を入れ替えた。
2005年2月から3月にかけて、リニューアル工事が行われた。外装のバランスを整えるため、塗装をぶどう色2号の地に白帯に統一した。屋根上のモニター風のカバーも撤去し、昭和風客車と大正風客車に荷物置き場を設置した。また、昭和風客車の座席も更新した。1979年の運転開始から、客車の牽引には梅小路運転区所属のC57 1が使用される。また、主に8月にはC56 160と重連で運転される。
C57 1が故障や検査などで使用できないときはC56 160が本務機となるが、C56 160単機では勾配の多い山口線での牽引は客車2両が限界であるため、下関総合車両所(本所)所属のDD51形ディーゼル機関車を補助機関車に従えた重連により運転される。2005年秋にC57 1が故障した際にはC56 160の手配が付かず、DD51形の単機牽引で「'''DLやまぐち号'''」として運転された。また、C57 1が検査中だった2010年5月4日・5日もC56 160の不調によりDD51形の単機牽引となった。
1980年から1984年までの間、予備機としてC58 1も使用され、C57 1との重連運転も実施された。C58 1は1984年にボイラーを傷めたため、梅小路蒸気機関車館へ戻され、お召し仕様で静態保存されている。C56 160は1987年に入線している。
蒸気機関車現役時代、山口線ではC57形は使用されておらず、C58形やD51形、D60形などが使用されていた。山口線は勾配が続き、トンネルも多いため、煙突に集煙装置が取り付けられていたが、C57 1やC58 1も入線に当たって、現役時代は取り付けられていなかった集煙装置が取り付けられた。これにより、特にC57 1は大きく形態を崩すこととなったが、乗務員の労働環境改善に配慮するため、致し方ないものとされた。C56 160との重連運転などの際には、しばしば集煙装置を外して運転される。なお、C56 160に集煙装置が取り付けられたことはない。基本ヘッドマークは木彫り彫刻式のもので、丸型の黄色地に、山口県周南市八代地区で越冬のために飛来する鳥で、同県県鳥にも選定されているナベヅルを象ったものである。また、「やまぐち」と下の方に横書きで書いてある。1979年の運転開始以来、記念運転時の特製ヘッドマーク使用例を除き、変更されていない。
このほか、次のヘッドマークが使用された。
1997年の運転時には、牽引機C57 1の竣工60周年と、同年のNHK大河ドラマ『毛利元就』放映を記念し、丸型の赤枠黄色地の上に、ステンレスで作られた3本の矢を象ったヘッドマークが用意された。C57 1の除煙板にも同様のデザインのエンブレムが取り付けられた。
1999年は運転開始20年を記念して、ヘッドマークを特製して掲出された。また、記念日となる8月1日には子供の1日車掌を交えた記念式典が行われた。
2001年の『山口きらら博』開催期間中は、同博覧会のキャラクター「山口きららバンド」をデザインしたヘッドマークが掲出された。
2003年10月のダイヤ改正で小郡駅が新山口駅に改称されるため、同年9月30日の運転では「ありがとう小郡駅 2003.9.30」と書かれたヘッドマークが掲出され、10月1日の運転では「新山口駅 平成15年10月1日」と書かれたヘッドマークが掲出された。
2004年8月1日には蒸気機関車復活25周年を記念したヘッドマークを掲出して運転された。
2007年3月21日には、牽引機C57 1の竣工70周年(1937年3月22日竣工)を記念するヘッドマークが掲出された。デザインは公募で選ばれた7歳の男の子のもの。次点に選ばれた70歳の男性のデザインのものが除煙板に掲出された。なお、同じく70周年記念として同年8月より車内で販売されている「SL弁当」の掛け紙が1万枚限定で変更されている(これもデザインは公募)。同年4月29日には山口県山口市出身の詩人中原中也の生誕100年(1907年4月29日生まれ)を記念し、中原中也をイメージしたヘッドマークを掲出して運転された。
2008年8月1日 - 3日は「やまぐちDELUXE 2008」と書かれたヘッドマークを掲出して運転された。
2009年8月1日には蒸気機関車復活30周年を記念したヘッドマークを掲出して運転された。1987年に12系客車の外装がぶどう色2号の地に白帯に変更されてから、テールマークが掲げられるようになっている。国宝である瑠璃光寺(山口市)の五重塔を象っており、斜め右下がりで、「やまぐち」と文字が書いてあるものを使用する。 1979年(昭和54年)8月1日:C57 1による牽引で運転開始。客車はオリジナルの12系を使用した。
1980年(昭和55年):C58 1が牽引機に加わる。
1984年(昭和59年)1月:C58 1引退。以後予備機なしでC57 1のみでの牽引となる。
1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、運行主体がJR西日本に移行。
** 6月7日:旧形展望客車「マイテ49 2」を連結開始。6月の毎日曜日に旧形客車3両+マイテ49 2で運転。(28日を除く)
** 6月28日:C56 160との重連開始。旧形客車3両+ぶどう色2号12系客車3両+マイテ49 2で運転。
1988年(昭和63年):12系客車1編成の内装、外装を改造。「レトロ客車」として7月24日から運転開始。
1991年(平成3年)4月1日:津和野駅 - 益田駅延長運転し、「'''SLドラマチックやまぐち号'''」として運転。C57 1とC56 160の重連でマイテ49 2連結。上りの益田駅 - 津和野駅間はC56 160が最前部のバック重連で運転。
1999年(平成11年):運転開始20周年を記念してヘッドマークが特別なものに。
** 8月1日:記念式典が行われるとともにC56 160, マイテ49 2を連結した特別編成で運転。
2000年(平成12年)12月31日:20世紀から21世紀へ「'''SLやまぐち21世紀号'''」運転。
2003年(平成15年)3月:「レトロ客車」改造。大正風客車に展望デッキを設置し、連結順序変更。21日から運転開始。
2004年(平成16年)8月1日:復活運転25周年を記念し、篠目駅にて下りC57 1牽引5両(レトロ客車)と、上りC56 160牽引2両(12系客車)の交換が行われた。
2005年(平成17年)2 - 3月:「レトロ客車」リニューアル。外装を統一し、荷物置き場を新設。3月19日から運転開始。
2007年(平成19年)8月1日:C57 1製造70周年企画イベントとして、上り津和野発新山口行きに限りC56 160と初のプッシュプル運転を実施。同様のプッシュプル運転が同月15, 19日にも実現。
2008年(平成20年)8月1 - 3日:山口デスティネーションキャンペーンの企画イベントとして、客車を「サロンカーなにわ」に変更し、C56 160との重連運転を実施した「'''SLやまぐちDX号'''」を運転。
** 8月17日:上り列車に限りC56 160とのプッシュプル運転を実施。
2009年(平成21年)7月27日:津和野駅構内にて「津和野SLプレミアムナイト」を実施。SLライトアップなどが催された。
** 8月1日:客車をオリジナル仕様の12系客車5両編成(京都総合運転所所属)に変更して、「'''SLやまぐち30周年号'''」として運転。上り列車はプッシュプル運転を実施。
** 9月20, 21日:「'''SLやまぐちゆうゆう号'''」として客車をイベント車両「ゆうゆうサロン岡山」6両(グリーン車)を牽引して運転。
2010年(平成22年)10月9 - 11, 16, 17日:客車を「サロンカーなにわ」および「あすか」に変更して運転された。前者は「'''SLやまぐち なにわ号'''」、後者は「'''SLやまぐち あすか号'''」として運転され、下り列車はC57 1とC56 160の重連運転、上り列車はプッシュプル運転が行われた。
ファイル:JNR SL yamaguchi 12blue.jpg|SLやまぐち号(1986年 小郡駅)
ファイル:JR west SL Yanaguchi C56 C57.jpg|C56 160+C57 1牽引によるSLやまぐち号(1987年6月28日 長門峡駅 - 渡川駅間)
ファイル:C57 C56 SLYamaguti DX.jpg|SLやまぐちDX号(2008年8月3日 長門峡駅 - 渡川駅間)
ファイル:C57 C56 SLYamaguti Youyou.jpg|SLやまぐちゆうゆう号(2009年9月21日 長門峡駅 - 渡川駅間) 交友社『鉄道ファン』
**1987年9月号 No.317 p.117
**1988年10月号 No.330 p.55 - 57 「広島支社のジョイフルトレイン フェスタ&レトロ客車」
**1997年10月号 No.438 p.8 - 17 結城重也・伊藤久巳「“SLやまぐち”を走らせて」
**2003年10月号 No.510 p.140 - 143 斉宮則仁「JR西日本 例年とはひと味違う“SLやまぐち号”」
**2004年11月号 No.523 p.110 - 117 斉宮則仁「煙を護(まも)る - “SLやまぐち号”・激闘の25年 -」
**2005年9月号 No.533 p.158 - 163 斉宮則仁「編成刷新! “SLやまぐち号”」 SL「やまぐち」号と沿線の旅(SLやまぐち号公式サイト)
JRおでかけネット 車両案内 SLやまぐち 12系(C57)(西日本旅客鉄道) 山口市
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