'''イチイ'''(一位、櫟、学名:)は、イチイ科イチイ属の植物。またはイチイ属の植物の総称。常緑針葉樹。別名は'''アララギ'''。北海道や北東北の方言では'''オンコ'''と呼ばれる。同属にヨーロッパイチイ がある。
属の学名 はヨーロッパイチイのギリシャ語名 taxos から、種小名 は「急に尖った」の意味。中国東北部、朝鮮半島、ロシア沿海地方、千島列島、サハリン島に分布。日本では北海道から九州にかけて山地に自生し、特に東北地方から北海道までの寒冷地帯に群生する。庭木としては、沖縄県を除いた日本全国で一般的に見られる。雌雄異株で、高さ20mほどの高木になるが成長は遅い。樹型は円錐形になる。幹の直径は50-100cmほどになり、樹皮には縦に割れ目が走る。
葉は濃緑色で、線形をし、先端は尖っているが柔らかく触ってもそれほど痛くない。枝に2列に並び、先端では螺旋状につく。
4月ごろ小形の花をつけ、初秋に赤い実をつける。種子は球形で、杯状で赤い多汁質の仮種皮の内側におさまっている。外から見れば、赤い湯飲みの中に丸い種が入っているような感じである。イチイの変種、品種などとして下記のものがある。
イチイ
** ver. *** f. キミノオンコ
** ver. キャラボク
*** 'Aurescens' オウゴンキャライチイの変種であるキャラボク(伽羅木) var. は、常緑低木で高さは0.5〜2m、幹は直立せずに斜に立つ。根元から多くの枝が分かれて横に大きく広がる。雌雄異株で、花は春(3〜5月)に咲き、雌木は秋(9〜10月)になると赤い実をつけ、味はわずかに甘い。
本州の日本海側の秋田県真昼岳〜鳥取県伯耆大山の高山など多雪地帯に自生する。鳥取県伯耆大山の8合目近辺にあるキャラボクの群生地は天然記念物のダイセンキャラボクとして知られる。また朝鮮半島にも分布する。
名の由来は、キャラボクの材が、キャラ(伽羅)という名の香木に似ていることによるが全くの別種である。
キャラボクとイチイを比べた場合。全体的にはイチイの方が葉が明らかに大きい。イチイとの最大の違いは、イチイのように葉が2列に並ばず、不規則に螺旋状に並ぶ点である。ただし、イチイも側枝以外では螺旋状につくので注意が必要である。耐陰性、耐寒性があり刈り込みにもよく耐えるため、日本では中部地方以北の地域で庭木や生垣に利用される。東北北部と北海道ではサカキ、ヒサカキを産しなかったため、サカキ、ヒサカキの代わりに玉串など神事に用いられ、神社の境内に植えられる。
木材としては年輪の幅が狭く緻密で狂いが生じにくく加工しやすい、光沢があって美しいという特徴をもつ。工芸品や机の天板、天井板、鉛筆材として用いられ、岐阜県飛騨地方の一位一刀彫が知られる。
日本(一説には仁徳天皇の時代)では高官の用いる笏を造るのにこの木が使われた。和名のイチイ(一位)はこれに由来するという説もある。
果実は甘く、そのまま食用にしたり、焼酎漬けにして果実酒が作られる。しかし種子にはタキシン (taxine) という有毒のアルカロイドが含まれている。種子を誤って飲み込むと中毒を起こし、量によってはけいれんを起こし、呼吸困難で死亡することがあるため注意が必要である。イチイのタキシンは果肉を除く葉や植物全体に含まれる。
葉はかつて糖尿病の民間薬としての利用例があるが、薬効についての根拠はなく、種子と同様有毒であるために絶対に服用してはならない。
心材が赤い為、赤色の染料にも用いられる。ワシントン条約の附属書IIに掲載されている。 岐阜県 北海道 - 恵庭市、北見市、函館市、富良野市、今金町、清里町、小平町、中川町、当麻町、東神楽町、美幌町、むかわ町、由仁町、西興部村、奥尻町、せたな町、北竜町
青森県 - 八戸市、五戸町
岩手県 - 遠野市
山梨県 - 忍野村、山中湖村
長野県 - 上田市、岡谷市、塩尻市、飯島町、御代田町、高山村、山形村
岐阜県 - 高山市ル=グウィン著の「ゲド戦記」で、当初ハイタカが愛用していた杖は「イチイの木」でできた杖であった。同書では、イチイの木は人を叩いても、傷つけない特殊な木として扱われている。 木の一覧 身近な薬草イチイ(一位) イチイ科、天然資源開発機構(PDFファイル)
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』