'''肥満嗜好'''(ひまんしこう、英:Fat fetishism)とは肥満体型の人に性的魅力や欲求を感じる嗜好。一般的には「'''デブ専門'''」の略の'''デブ専'''(でぶせん)という俗語で知られる。本来、脂肪は飢餓を救う貴重なエネルギー源であり、それを多く蓄えた肥満体形は「富の象徴」としてもてはやされた経緯もあって、ルノワールの裸婦のように豊満な体型が好まれた時代もあった。しかし近代になると生活も豊かになり、脂肪を蓄える必要もなくなったことや美意識の変化から、徐々にスリムでスレンダーな体型が好まれるようになり、雑誌やTVなどマスメディアに登場する著名人やタレントも痩せた人が多くなった。そんな"痩身至上"の中にあって、太った異性に魅力を感じることが特別なこととされるようになった。
しかし近年では行き過ぎた痩身至上主義からの拒食症や過度なダイエットで死亡に至るケースなども出てきた反動から、「サイズ・ゼロ」とも言われる極端に痩せたモデルがショーへの出場を拒否されたり、逆に「プラス・サイズ」と言われる豊満な女性がモデルを務めたり、英国のミス・コンテストで準優勝に選ばれるなど、少しずつではあるが"原点回帰"が見られている。
地域によってはまだ肥満女性を美徳としている国があり、アフリカのモーリタニアでは伝統的に少女のころから、フランス語で「ガバージュ」と呼ばれる強制的に大量の食事をさせる習慣が残っており(フォアグラ製造でも同じ単語を用いる)、人権や健康的配慮から政府が肥満撲滅キャンペーンを行うほどである。
肥満男性は「デブ」と表現されることが多いが、肥満女性をデブと言うのは蔑称であるという傾向から、主に'''ぽっちゃり'''と表現することが多く、肥満女性向けのサイトなどではその肥満の度合いに応じて「ぷちぽちゃ」「中ぽちゃ」「激ぽちゃ」「3桁ぽちゃ」などと使い分けられることがある。
また肥満嗜好者の呼称である'''デブ専'''(でぶ専)とは、元々は男性同性愛者の中で多用されていたスラングであったものが、男女間でも用いられ一般化したものである。こちらも女性に対しては蔑称と取られることから「ぽちゃ好き」などと言い換えることが多い。肥満の程度にもよるが、プランパー(Plumper)とも呼ばれる太った女性への嗜好は一般的認識のようなごく少数というわけでもなく一定数存在し、肥満女性専門のサイトや風俗店、また雑誌やアダルトビデオ等も存在している。
近年では「樽ドル」と呼ばれる肥満まではいかない多少豊満なグラビアアイドルも存在している。
西欧圏においては元々肥満体型が多いことからも極めて特殊な性癖というほどではないとされ、肥満女性のみを集めたモデルクラブの存在などが日本のTV番組でも放送されたり、肥満嗜好者のための製品やサービスも多くみられる。
しかし日本ではそうした嗜好が一般的にそれほど認知されておらず、まだそれを支持する土壌もそれほどないことから「肥満女性=モテない女性」であり、「肥満女性好き=よりモテない男性」と思われている場合もある。
そのことから男性自身もその特異と取られがちな嗜好をコンプレックスに感じていることも多く、周囲にカミングアウトしづらいことから、一般生活上では潜在的になりがちで、その実態も統計的資料の不足もあって把握しづらい。
一方で太った男性を好む女性については、一般的に太った男性はマイナスイメージで見られることはあるものの、肥満女性よりは美的感覚をそれほど強要されないこともあり受け入れられやすい傾向にある。しかし、「肥満男性を好む女性」向けの製品やサービスなどは肥満女性のそれらに比べるとかなり少ない。ゲイの世界では人気のあるジャンルでラグビーや柔道、相撲等のスポーツで培った大きな体型から、純粋に肥満(体脂肪率の高い)体型の男性全てを総称して「'''デブ専'''」と括る場合も多い。
ゲイの世界で言うところの「'''デブ専'''」は一般人の考える肥満よりも高い肥満度を指す場合が多いが、デブの定義も人によって異なるため近年は細分化されて扱われる傾向がある。代表的な例としては次のようなものがある
● がちむち(がちむち専)
筋肉質であり、かつ体脂肪率も高い。重量級柔道選手やプロレスラーのような体型。
● ぽっちゃり(ぽっちゃり専)
筋肉質ではなく、体脂肪率が高い
● 巨肉(肉専)
主に体重120kg以上で、体脂肪率が40%を越えているような体形
● SG(SG専)
スーパーがっちり(Super Gacchiri)の略。ゲイ雑誌G-men(雑誌)が提唱した体型タイプの名称。
1990年代半ばから2000年初頭までゲイの間でよく使われていた。
「体育会系デブ」を指していたが、ゲイの間では定義がバラバラであったため、がっちり体型のマッチョ寄りの事を指すなどの間違いがあった。
命名者はg-menの初代編集長。
● みけ(みけ専)
体重の数値に着目した呼び方で、体重が3桁=みけた、すなわち100kg以上
● ガタイ(ガタイ専)
マッチョ体形に多少の脂肪が付いた体形(別名:霜降マッチョ)
● ゆるぽ(ゆるぽ専)
筋肉質やスジ筋体形の人が、お酒の飲みすぎなどで中年太りのような体形になってしまった若い人のこと(まだ運動すれば体型補正が見込める人のみ)
ゲイのデブ専向け専門誌として「SAMSON」が有り、アダルトビデオは異性愛モノとは異なり数社から発売されている。体毛が濃くずんぐりした体型(筋肉質であるか無いか両方含めて)の男性を好む性的嗜好を'''熊専'''という。現在は体毛に限らず、顔面に髭を蓄えた人(必ずしも体毛が濃いとは限らない)を含めて「熊」と総称する傾向がある。髭の蓄え方は「口の周りのみの髭(ラウンド)」や「顔全体に髭を蓄える(フルフェイス)」などさまざまなパターンがある。これらを男性に対するフェティシズムも含めてを熊専という。動物の熊に似て愛くるしい風貌になり、ゲイの間では顔面に髭を蓄える人は多い。以前は髭(この場合の髭は主に唇の上にのみ髭を蓄えるタイプ)はゲイを示唆すると考える人がいたが、現在は日本社会にも顔面に髭を蓄えることをファッションの一部として捉える傾向がある。
大きく分けると肥満体型同士の組み合わせ(デブデブ、DD)と肥満体型と普通体型の組み合わせ(デブ細、DS)に分かれるが、前出のSAMSONの調査によると人数比的には、細とデブで6:4=S:D、デブの内訳はDD:DS=6:4といわれている。
単純に計算して、デブ細分野で肥満体型と普通体型の比率は60:16=3.75:1=S:Dとなり、DS分野では肥満体型の売り手市場であることが推測される。男性同性愛者と比較すると肉付きのよい体型にこだわる者が少ないこと、メディアへの露出が極端に少ないためもあって、女性同性愛者のコミュニティ以外では話題にのぼることはほとんどない。男性同性愛者ほど細分化された嗜好はないようである。
フェティシズム
肥満
デブ
ぽっちゃり
春川ナミオ
ゲイ用語
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』