'''指'''(ゆび)は、一般的に身体の一部を指すが、文脈に応じて様々な意味を持つ。一般に手や足の末端部にある。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。指はそれを所有する人間、動物によっては構成要素や構造が様々であり、その機能に見合った生活をしている。基本的には四肢を持つ脊椎動物に存在するもので、それ以外の動物の場合、類似の構造をこう呼ぶ場合があるが、普遍性のあるものはない。
人を含め左右の手あるいは腕や足にそれぞれ生物固有の本数と形状で備わり、付属器官として爪、指紋、外分泌器などがあり、外部への攻撃やモノの把持、触覚、歩行における体重移動の補助機関などとして働く。
形態学的に指は多くの関節と腱と筋肉から構成され、複雑な動きに耐えるモノが多い。また、その先端には角質化した爪があり、これも様々な形があって、指の働きを補助する。霊長類、人の手の皮膚は無毛皮と有毛皮とで組成されており、共通して掌は無毛皮、手の甲は有毛皮である。無毛皮には高い密度で触覚に関する感覚細胞が配置し、敏感な触覚器となっている。無毛皮は独特の皮膚紋を持ち、指のそれを指紋と呼んでいる。動物の種によって、また生まれ付いての突然変異によって指の本数は変わってくる。
人の指の数は主として5本であり、それ以外は奇形として扱われ、多指症、合指症、欠指症などの名称で呼ばれている。
動物の指の数は進化の分岐と共に分かれ、種によって指の本数が異なる。偶蹄目は第二趾・第三趾が発達し他は退化、奇蹄目とされるウマは第三趾のみ発達し他は退化。鳥類はダチョウが2本の指で、走行を主とした機能を果たしている。それに対し他の鳥の多くが4本指で前後逆向きについており、指でモノを挟むことができるようになっている。パンダは5本に加え、こぶが1本あり、指が6本あるように見える。イヌは親指の爪は狼爪と呼んでいる。バクは前肢4本後肢3本、サイは3本と、種によって指の本数は大きく変わる。四肢は魚類から両生類が進化する過程において、胸びれと腹びれ、いわゆる対鰭を支える柄の部分から発達したものである。その際、その外側に配置した骨から生じたのが指である。これは、足が地面を掻く際の引っかかりになるように発達したものであろう。
ごく初期の両生類においては、5本より多くの指を持つ例がいくつか知られているが、この時期に次第に整理され、最終的には前後とも5本の指があるのが定型となった。したがって、それ以降の脊椎動物の各群においても5本が基本であり、そこからの特殊化の過程において、様々な本数、形態のものが生じた。特に変化の激しいのが鳥類であり、前足は飛行のための翼となり、その過程において、親指を除いて独立の指は見られない。後肢は多くのものでは4本であるが、内の1本が完全に後ろを向く。当初の指は足の先端のわずかな突起であったようであるが、動物の陸上進出、それにつれてのニッチの拡大にしたがって、その形態も多様化した。
細長い指は、関節で折り曲げることで物を掴む機能を持つ。樹上生活においては、細い枝を持つのに適した構造となる。樹上性のカエルや、サル類においてこれは著しく見られる。また、食物を掴むなど、さらに細かい動作もこのような指によって可能となる。なお、物を掴んで操作するという点ではヒトの親指のように掌側に曲げられる指は貴重である。しかしこれを持つものは少ない。パンダの6本目というのはこのような機能を持たせたものである。
地上を走るという機能から考えた場合、むしろ長い指は邪魔であり、短くしっかりしたものが望ましい。イヌやネコなどは指を短く折り畳むようにしてこれを実現する。しかし、よりしっかりと長距離を走るには、さらに固める方が望ましく、ほとんど区別できない指に固くて厚い爪を装備する。ダチョウや有蹄類のものが有名で、これらの動物ではさらに指の減少傾向がはっきりと見られる。
水中生活には、指の間に水かきを広げて、水を掻く能力をつける(カエル・カモノハシ・アヒルなど)。より遊泳力をつけるために、指全体を厚く肉が被ってオールのような形になる例もある(ウミガメ・クジラ)。空を飛ぶためにも、指の間に水かきを発達させる例がある(トビガエル・コウモリなど)。指は手の付属機関として、健康については手を基調に語られることが多いが、知覚神経や運動神経が鋭敏である指の固有の働きは、人の日常生活に欠かすことのできないものが多く、その重要性は高い。
付属機関である爪は代謝が早く、また、爪の裏には毛細血管が走っており、その色が日常的に観察しやすいために、その時々の体調を現しやすく、様々な健康診断の指標となり、健康のバロメーターとも呼ばれる。
また、指には固まりやすい関節部が多いため、指は使わないと1週間ほどで動きがかなり鈍くなってしまう。老化に伴い、関節部の代謝は悪くなるため、老後もその機能を保持するためには、こまめに動かすことが求められる。
指固有ではないが、指に症状が現れやすい病気として、
爪にまつわる病気は爪の項を参照。
爪もかかりやすいが、指も白癬に侵されることがある。指の股などに多く見られ、痒みや疹、皮膚の剥がれや紅斑などを症状とする。
関節炎、関節リウマチ、腱鞘炎などによって起こる変形性関節症が関節に熱を持ち、痛み、変形、運動障害などを齎す。
指は関節が多く複雑な動きに耐えるが、持続的な動きや力を入れる動きには強いとは言えず、関節の機能以外の動きによって引き起こされる脱臼、無理な動きによる靭帯損傷、関節の耐久能を超えての使用による関節炎などが機能的な障害の症例に挙げられる。
関節が多く、衝撃は関節に吸収されるために指自体の骨折は比較的少ないが、突き指などによって、指の靭帯損傷のみならず、指の掌に隠された部位の骨折を引き起こしていることがある。また重量物による圧迫が外傷がなくとも骨折を引き起こしていることもあり、曲げることが可能でも響くような痛みを伴う時はレントゲンによる観察が必要となる。
他には痛風、胼胝(タコ)、レイノー病、キーパンチャー病、ビュルガー病、フィラリアなどが引き起こす象皮病など膠原病、他に爪の病気等が指周辺部に症状を引き起こす病気として多く挙げられる。
凡例ではないが、心筋梗塞の時、病気初めに左腕部に痛みが走ることがある。 日本語で、指は指示や指摘の意味で用いられることが多く、それらに纏わる慣用句が最も多い。「指を差す」「後ろ指をさす」
日本語で、指は数を数える指標として用いることがある。「指を折る」
日本で指を用いて数える時は、人差し指を立てて 1、さらに中指を立てて 2、さらに薬指を立てて 3、さらに小指を立てて 4、さらに親指を立てて片手を広げて 5 を表す。両手を使うと 10 までを表せる。また左右の手の指に限らず、親指と人差し指で円を作ることで 0 を意味することがある。
独特であるが、二進数の表記に指を用いることがある。またその時は片手で 31 まで、両の手で 1023 までを表すことができる。二進指数え法を参照。
競売や競りの時の数の表記には、その会場のルールが用いられるが、表意に指が使われることがある。
指遊びや指を使っての影絵などは、地方によって様々な伝統や風習が存在する。また年代による違いも存在する。
人差し指と中指を立てるVサインまたはピースサインの表現形態は時代による流行がある。
指遊び:指を用いての遊戯。
指相撲:手を組み合わせ、指を力士に見立て押さえあう遊戯。
指人形:指に人形を模した被せ物をし、指を動かすことで動作をさせるもの。手全体に被せて動かす人形を言う場合もある。パペットではなくギニョールと言う。袱紗
指笛:指を口に入れ、笛のように音を出すこと。またその演奏。
指切り:誓約の証に小指を切ること。また、それに託けた小指を曲げて引っ掛け合い、誓約をすること。げんまん。
指金:指を細く美しくするために挿す金の輪。指輪や指貫のことを指す場合もある。
指鳴らし 指を折る:指折りの、屈指の、多くの中で指を折って数え上げるほど優れていること。また、数える時の動態。
指を差す:モノを指で示すこと。人をあざけりそしること。手を出すこと。
指一本も差させない:他者に少しも非難を許さない潔癖な状態。また人に干渉させないことを言う。
指の股を広げる:太鼓持ちが遊客をおだてて機嫌を取るさまを言う。
指果報:指紋を見て占いをすること。転じて、思いがけない幸せ。指にはめる道具として、サック、手袋、軍手などがあり、装飾や保護の役割を果たす。サックは事務用途として、書類をめくりやすくする目的で用いられることがある。
また爪に着ける道具として、付け爪、マニキュアなどがあり、ネイルケアとして装飾や保護の役割を果たす。
裁縫を行う時に針の頭を押すために指貫を用いることもある。金属、プラスチック、革などがある。 解剖学
人体/手/足/爪
親指/人差し指/中指/薬指/小指
突き指/脱臼/捻挫/白癬
ネイルケア/マニキュア
偶蹄目/奇蹄目/蹄
指詰め
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