'''体育座り'''(たいいくすわり、たいいくずわり)または'''体操座り'''(たいそうすわり)は、坐法(座法、座る姿勢)の一つ。尻を地床につけ両脚は立て膝にして踵を揃え、両腕は両膝を抱え込む形のものを指す[愛知県教育委員会 『集団行動指導の手引』 平成20年3月発行 (6ページ) pdf]。起源について記録は無いものの、児童には長く起立させたままでは貧血を起こす者がいることから、運営上の対処法として考案されたと推定される。体育のみならず、全校朝会、児童集会、野外活動でも用いられ、学校生活では床面や地面など平面に座る。
体育授業が採り入れられて以降の日本において、児童・生徒が集団行動を行う際に執る坐法の一つとして定着し、「体育」の名を冠して呼ばれるようになった。教育現場から生じた坐法であるため、その教えを受けた卒業生が世に多くなるに連れて普及率は増し、今日では多くの日本人が自然に執る坐法の一つとなっている。言葉としても早くから通用語として成り立っており、児童・生徒に限らず、人全般に対して広く用いられるようになっている。
教育現場においては体育座りが掲載されている教科書や手引きが存在するようであるが、学習指導要領には体育座りの記載は無い。日本語全般では「'''体育座り'''」と呼ばれることが多く、次いで「'''体操座り'''」が多い。さらに局地的、方言のレベルでは各地にさまざまな呼び方があり、関西地方には脚部の形状から「'''三角座り'''(さんかくすわり、さんかくずわり)」と呼ぶ地域もある。また、'''おやま座り'''と称することもある。
また、同じ「体育」という字面でもその発音は地域によって異なり、基本形である「'''たいいく'''」と短音化した「'''たいく'''」があり、加えて「…座り」にも、清音の「'''すわり'''」と濁音の「'''ずわり'''」の違いが見られる。
なお、本項の坐法を「体育座りA」と習い、他に片膝立ちの「体育座りB」(半跏で膝を抱える坐位)も教わったと言う人もおり、その一例としては、日本人タレントの松岡昌宏(TOKIOのメンバー)がテレビのトーク・バラエティ番組『メントレ』にて言及している。号令は「着席」とそれに類する「腰を下ろして休め」「腰を下ろしましょう」「座ってください」で体勢を作る。解除の号令は「起立」とそれに類する「立ちましょう」「立ってください」。
座りやすい反面、立ちにくい。両手を腰の斜め後方に出し、前傾しつつ腕を突いて立ち上がる。足を交差すると前傾しやすくなるため、直前に足を交差するように指導する教師もいる。
しゃがむ姿勢より前後方向の安定性が高く、下り斜面でも安定して座れる。実際、すべり台を滑っている姿勢は、体育座りから腕を振り解いた状態である。左右のバランスは、膝や足を若干離すことによって安定する。手遊びを防ぐために両手を膝の前で組ませる。起立の号令にすばやく対応するため、指を組ませずに片手で反対の手首を握るよう指導する教師もいる。
日本全国規模での統一規格は無いので、崩れた姿勢も多数見られるが、体育的配慮ではなく「聴く態度」を始め、マナーの面で注意を促されることが多い。腕を解いて手遊びする場合、後方に体を反らせる場合、脚を開いて下を向く場合などがマナー違反として指導対象となる。
一方で、膝を抱えきれない肥満体の児童・生徒もごくわずかにいるため、姿勢が保持できない場合は強制されない。体育以外の私服着用時には、スカート姿の女子がパンチラ防止のために裾ごと太腿を抱えたり、それができないミニスカートの女子が正座や横座り(女座り)になったりすることが多い。事情が事情だけに正しい姿勢を強制する教師はほとんどいない。礼儀や集団の見栄えには影響するため、来賓を迎える入学式・卒業式などの厳粛な儀式行事の場合には体育座りは避けられ、椅子が用いられる。
屋外では、私服で特に顕著であるが、砂や草が着衣に付着するために嫌われる姿勢である。起立した途端に大多数の子供が尻を叩いて埃を払う光景はよく見られる。集団行動の中では、少なくとも起立後の礼が終了するまで我慢するように指導される。
なお、体育座りも、半ズボンタイプ着用が前提であったと思われる。ハーフパンツタイプ着用で体育座りをしたら、腿の周辺のアクセサリーが重くてずり落ちてしまうからである。
坐法(座法) - 正座、胡坐、横座り(女座り)、あひる座り、ほか
管理教育 - 校則
体育 - 運動会
制服
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』